予算のカラクリ
計画を遂行するにあたり、必要になるのは予算。
一倉先生はその予算についてどのように考えているのか?
今回は、予算統制のお話です。
経費を予算以下でとどめたら評価される
みなさんの会社ではこのようなことになっていないだろうか?
販売計画はいつも低めに提出され、原価は高めに、経費は多めに計上されている。ということはないだろうか?
調整会議でいろいろ言われないように、そして自分たちが楽をしようとするためにだ。
それはなぜか?
予算実績比較表によって評価されるという仕組み
予算と実績の差をつめるのは確かに大事なことだが、それが予算を守れば良いという風潮が広がっていく。
自己統制意識の向上を狙ったはずの予算統制が、自己保身にむかってしまってはよくない。
「どんな馬鹿でも予算を守ることはできる。しかし、守るだけの価値ある予算を立てられる人は、めったいにいるものではない。」(ニコラス・ドレイスタッド)
先生は、この言葉を例にあげて、我々はこの言葉をよく噛み締めなければならないとおっしゃっています。
企業の予算は、企業の目標から決まる
一倉先生は、ある会社の例を紹介しています。(業界のトップであり、絶え間ない成長と革新が行われている会社の例)
1、社長が高い売り上げ目標と、利益(売上の10%)を明示する。
2、残りの90%から、統制不能費と未来事業費を天引きする
3、残りですべての経費をまかなう。
というものである。
予算は頭から決めていく。経営者が自らの意志によって予算の大綱をきめるのである。
経理技術者が各部門の予算をまとめ、調整したものではない。トップに理解してもらうためのものではない。
と。
これは同時に次のこともメッセージとして伝えています。
それは、経営者も数字をわかっていなければいけない。
といういことです。
経理担当者が数字をもってきて、それに強く言えない経営者。それは経営者が数字のことに対してよくわかっていない。ということもあるかもしれません。
未来事業費を切り詰めてはいけない
未来事業費とは、未来のために前向きな措置をするためのもの。(先行投資)
将来戦うための潜在実力をたかめるためのものになります。
そのため、どんなに苦しい時でもこの費用を不用意に切り詰めてはいけない。そんなことをしたら会社の将来を危うくしてしまう。
トップの状況判断と堅い決意によって未来事業費の予算をはっきりと示すべきである。
予算は少なければ少ないほどいいというものではない。